リンカートキャブレター調整編。

1948OHV採用の、リンカートキャブレターM-35。1948FLにはT,TPがあります。


上がロースピードニードル。基本的に2種類で、48以降は後期型。
下がハイスピードニードル。基本的に8種。ボディ本体のフィックス・ジェットの有無が関係していると思われます。


このM-35の刻印は『2-378』。これは1941〜46年製造。
1948年は「2-398」(初期M-61も)
1946年〜1947年M-35「2-388」
1937年〜1939年M-51「2-338」
1936年〜1939年M-5「2-348」
M-61「2-408」
M-74B「2-418」


ロー、ハイそれぞれにフィックスジェット用の穴が空いています。


M-35は実は・・・「NONE」。使わない。蓋をしちゃいます。


さて、ノズルです。左がKTさんから頂いたノズル。右がM-74B用のノズルです。


ザ・リンカートブックを開いてみると・・・48はタイプA。



これですね。


これでした。KTさん、ありがとうございました。


ボディ内部に入れるベンチュリーです。10種類あります。
M-35は1-1/8のサイズ。


内部のエアーをこのような状態にするわけです。



ツールを使って、圧入します。さっきのメインノズルを下から入れます。


お次はフロートです。これは社外のフロート。ウレタン製です。

これまたKTさんに送ってもらった、アメリカのリンカートキャブの大家『Cotten』さん特製のフロート。
樹脂製だと思われますが、ウラはしっかり浮くようにさらに特殊加工されています。キャブのサイズによって各種の大きさがあるようです。


フロートのセッティングです。ボウルにひっかかりがないように。


フロートの種類によりますが、調整はこの図の範囲内。コルクは1/4、ブラスは7/16。


POWERとあるほうがハイスピードニードル側。


キッチリ締め込むとこんな感じ。74Bはジェットがあるのでココがもっと細いです。


先に書いたように、M-35はジェットがありません。そのかわりフロート内のガソリンをノズルに送る為に、このハイニードルが大事な役を担います。


チョーク側のエアインテークシャフト。

チョークの開閉をパタパタさせるフリクションボールを組みます。細かくてメンドクサイ。

チョークバタフライを入れます。この真ん中上に見えるスプリングがM-35TPには付いています。

チョークが終わったら、ロースピードニードルを入れます。48〜65用です。
スプリングで押さえつけながら、ロースピードニードル側を組み込みます。


スロットル側のスロットルシャフト。1940〜65年の1-1/2用。


スロットル・バタフライディスクを入れます。可動にガタはないかチェック。

スロットルレバー。全閉状態で締めて、スロットルケーブルのリンクもスムーズにルーティングするようにします。



アイドリングホール。ディスクちょい開け状態で効いてきますが・・・
使わないのでプラグで塞いでしまいます。

アイドリングパッセージも使いません。同じくボディ側も。

ノズルを抑えつけるスプリング。いままで仕様していたロックナットのガスケットリング。

新品は膨らんでいます。潰れるまで締めると、ガス漏れがなくなります。



さて、調整です。が、リンカートは数十年以上前の職人による手作りキャブなので個体によって多少バラつきがあります。
ニードル何回転という決めはないので、参考程度にしておいてください。

まずは空キックを数回蹴って、ガソリンがボディ内でビショ濡れになるぐらいまでロースピードニードルを回します。
ローは締め込みから5回転、ハイは2回転戻し。ここでエンジンをかけて(かなり濃いです)、ハイはそのまま、ローを1ノッチずつ締めて行きます(薄くしていきます)。エンジンが失火、もしくは止まりそうな状態(止まってもいいと思います)になったら、今度は5〜10ノッチの間でまた戻します。このノッチ間で一番高くなったところでセッティングが出ると思います。